康太です。
日本人の幸福度を下げている大きな要因の一つは「労働」と言っても過言ではありません。
実際、この前歴史セミナーで聞いたように、日本の労働問題は世界でも「悪い意味で」都市伝説化しているらしいです。
なんでも、「日本に行きたい!」といった娘さんを、
「冗談じゃない!日本は”カロウシ”という恐ろしい死因がある国らしいじゃないか!」
と、真っ青になって引き止めた父親がいたとか・・・。
実際、「過労死」というものは世界では全く馴染みがないものらしく、過労死っていう単語がそのまま海外でも単語化されたそうです。
むしろ海外の人は自ら進んで過労死していく労働者の方が理解できないっていう(笑)
いや、当事者からしたら笑い事じゃないんだけど。
海外、特に欧米は、この記事でも紹介したように、労働者の権利を守ることについては非常に厳しいです。
※以降、この記事のリンクを貼っていることが多いですが、先に読んでおくと今回の内容も理解しやすいかも。
欧米では、雇用関係に不満があれば割とすぐ辞めるし、なんだったら公務員ですらストライキを起こしてでも「労働者の当たり前の権利」を守り通そうとします。
その背景には、欧米が長らく
「経営者が労働者を道具のごとく酷使し、労働者はそれと戦ってきた」
という歴史があって、それに労働者の側も戦うという文化が出来上がっていったことがあります。
しかし、日本はそういう欧米とは違った歴史をたどってきており、欧米とは経営者の考え方も労働者の考え方も全く違っている。
なのに、日本では昭和~平成の境目辺りで、日本式経営が批判されるようになる風潮も手伝って、経営者だけが「欧米型」に染まっていったことからだんだんおかしくなったのです。
生命力と繁殖力の強い外来種が、日本固有の在来種を駆逐していくように、「真面目で誠実な」日本の労働者は「欧米型経営」のいいエサにされてしまった・・・という話をしました。
現在、ブラック企業問題は認識されてきたけど・・・
ほんの少し前は、「日本の労働っておかしいんじゃね?」ということを言うと、古き良き(?)労働観を持った人からはすぐに否定されました。
「社会を分かってない!」
「それは甘えだ!」
「これだから最近の若者は!」
みたいなテキトーな定義もない感情的な批判とか。
確かに、最近はバックレる若い新卒や、入社後一瞬で辞める人も増えていますし、
仕事<<<プライベート
という人も増えてはいるでしょう。
でも、これは歴史を見れば割とごく自然な若者の「時代へ適応した進化」にすぎません。
経営者の頭が欧米寄りになったから、若い労働者も欧米の歴史がたどったように「経営者の好き勝手させてたまるか!」という欧米型の人が増えたにすぎないと僕は思っています。
でないと、日本の労働者はみんな過労死で絶滅するもん(笑)
ただ、最近は過労死問題や過労うつなどの問題がどんどん表面化し、ブラック企業問題がようやく認識されるようになっていますから、そういう過剰な反動も多分にあるでしょう。
ですが、やっぱりこういう意見も頭ごなしに否定してくる始末の悪い人がいます。
「日本はこういった世代や労働文化のおかげで強くなったのだ!」
「だから若い世代も先人を見習って、このままでいくべきだ!」
とかね。
こういう人達を見て思うのは、全く歴史を学んでいない。歴史から学んでいない。自分の経験則と親の価値観しか見てないなーって思います。
「戦後復興期」なら合っていたかも知れない労働文化
そもそも、日本の「ブラック」と称されるようなヘンなサラリーマン労働文化ができたのは結構最近のことだというのは、前に「ワークライフバランス」の記事でも話しましたよね。
いや、もちろん確かに日本のサラリーマン文化が日本の発展を支えたというのはあるとは思いますよ。
特に戦後、何を間違ったのか「一面焼け野原」になっちゃった日本を、世界に合わせて「元のレベル以上に」復興しなきゃいけなくなったわけですからね。
まあ、そもそも日本がそういう状態になったのはどこの誰のせいか、って話にはなりますけど。
あの戦争の原因については諸説ありますが、言ってみれば「自滅」なうえに、当時の若い世代に未来の責任おっかぶせて、マジ何やってたんだ、と思いますけどね。
余談ですが、僕の祖父はお国のために南方の激戦地で戦った結果、本来特待入学するはずだった学校にも入れず、戦争が終わったら「お前は学歴がない」という理由でずっ大人たちから差別されてきたといいます。進学できなかったのは、戦争起こしたのは、どこの誰のせいだよ。
そういう意味では「戦後世代」もある意味被害者です。
ですが、話を戻すと、言ってみれば日本の「一生懸命働くサラリーマン文化」というのは一種の「非常体制」であり、「緊急事態」だったのです。
何より、皮肉にも一面焼け野原で、文字通り日本経済がゼロスタートだったからこそ「頑張った分だけ成果が出た」。
ところが、経済発展が十分に進んで、労働量=昇給や出世にもならなくなった。
むしろよく言えば安定期、悪く言えば成長が期待できない時代になってしまった。
高度成長期なら、「みんな死に物狂いで頑張る」というのも分かりますし、それに見合った満足は得やすかったでしょう。
でも、もう日本は戦時体制でも戦後復興期でもありません。
時代は変わったのです。
時代に合った生き方なり働き方なりを、いい加減に見出すべきなのではないでしょうか。
技術もお金もあるはずなのに、肥え太るのは会社だけ。労働者には全く還元されず、国民一人当たりのGDPは先進国内でも微妙な順位です。
話題になったゴーンやら、リストラで罪もない労働者を大勢切り捨てたあげく、自分は会社を私物化してやりたい放題やってる奴が大勢のさばっている・・・
このように、「戦後サラリーマン文化」がだんだん弊害を生んでいることは言うまでもないですよね?
もう昭和どころか平成も終わりってご時世ですよ?(笑)
いつまで昭和時代のやり方を引きずってんだよと。
中華最初の帝国・秦が滅亡した原因
まあ、そういってもちゃんと説明しないと納得してもらえないと思うので、僕は「歴史の教訓」という視点を根拠に、今の日本の労働問題は早く解決すべき、という話をします。
ちょっと歴史のお勉強をしましょうか。
あなたは、中国で最初の「皇帝」になった人物は覚えていますか?
正解は、秦の始皇帝です。
しかし、中国の「ファーストエンペラー」ともいえる「始皇帝」の立てた秦帝国は、始皇帝の死後5年も持たずに滅亡しているということまで知っている人はどれくらいいるでしょうか。
で、その秦があっさり滅亡してしまった原因というのが重要でして・・・
もちろん、二代目皇帝がアホで、そのアホな皇帝を操り、国を食い物にする政治家がいたとかそういう理由は当然あります。
同時期に、劉邦や項羽などのちに天下を取ることになる英傑が続々登場してしまったのも秦王朝にとって「不幸」と言えば不幸でした。
・・・ですが、秦が持たなかった根本的な理由はそれじゃありません。
「戦国時代の軍国主義体制を引きずったまま平和な時代を治めようとしたら、国民が反発しまくって大規模な反乱が起きてしまった」
というのが一番なんですね。
中国王朝の滅亡パターンは、大きく分けて2つあります。
1、農民反乱が起こって収拾不能
2、騎馬民族(異民族)の侵攻
そして秦は、完全に「1」のケースです。
では、秦がなぜ農民反乱で大打撃を受けたのか。
その原因がまさに「自業自得」としか言いようがないものでした。
ここからはマニアックな話になりますが、秦には始皇帝の出てくる以前に「商鞅」という政治家が作った、非常に厳しい「軍国主義的法律」がありました。
その法律のおかげで、「戦国七雄の中でも一番野蛮でド田舎の貧乏国」と他国からバカにされていた秦は一気に強くなり、最終的に他の六国全てを滅ぼして天下を取るほどの強国へ変身できたのです。
※漫画「キングダム」を読んでると分かりやすいかも。
しかしこの商鞅の作った軍国主義的法律は、
平和な時代を治めるには明らかに合っていない法律だったんです。
なんせ、
「長雨で動けないという事情があったのに、集合時間に遅刻したから問答無用で死罪」
「趣味や学問は禁止、農民は国のために農業だけやってろ」
みたいなトンデモ法律がまかり通ってたのです。
なんか、「台風でも出勤するのが常識」「プライベートより仕事にすべてをささげろ」とか、今のブラック経営者と言ってることがそっくりですね(笑)
おかげで、中華の民は
「乱世が終わったのに」今度は秦の役人に怯えながら生活せねばならず、
おまけに始皇帝が宮殿造営やら不老不死を求めて無駄遣いしまくっため、
そのしわ寄せに重税や労役を課されて生活は貧しいまま・・・という、
戦国時代とどっちがマシなのか分からない生活を送っていました。
ちなみに、秦滅亡の大元となった農民反乱である「陳勝・呉広の乱」の経緯は、
- 「兵役に出された人達が、長雨のせいでにどうやっても期限内に到着できなくなった」
- 「でも法律上はいかなる理由があっても遅刻は死刑確定でどっちにしても人生詰み」
- 「どうせ殺されるなら一旗揚げてから死んだ方がマシじゃないか」
・・・という理屈で、陳勝と呉広が一緒に兵役に駆り出されようとしていた農民たちをたちを誘ってみたら、思いのほか賛同者が増えて最終的には中華全土を揺るがす大反乱に発展してしまったのでした。
言ってみれば、この反乱さえなければ、のちに秦を直接滅ぼし中華を統一する「劉邦」や「項羽」もどうしようもなかったわけで。
結局、秦は「軍国主義時代は通用した法律」を「中華統一後」も延々と続けてしまったため、民衆の不満をむやみに溜め込み、それが大爆発してあっけなく滅亡したわけです。
言い方は悪いですが、ブラック経営を引きずって「このやり方が正しい!」と言っている今の日本がやってるのは、この「秦」と同じということ。
いわば、「今の日本」とは、例えは悪いですが・・・
戦争が終わったのに、戦時と同じペースでいまだに徴兵や武器増産を続けている軍国主義のヤバい国
と大差がないんですよ。
少なくとも「労働体制」に関しては、ですが。
反乱は起こらないけど、本当に優秀な人材は日本から去っていく
そういう視点で見ると、やはり僕は今の日本の労働体制を続けるべきではないと思います。
非合理的だし、むしろ「今の日本に足りない」と上の世代がよくいってる「日本の活力」とやらを奪っている原因は、今の日本の労働体制が原因ではないでしょうか?
世界で今「成功」している連中なんて、日本の変な企業文化からしたら「非常識」な連中ばかりです。
(敢えて日本の古い価値観とは言わない。そもそもサラリーマン文化自体が日本ではイレギュラーだからです)
さんざんバカにされていた日本のアニメや漫画は世界で人気になり、政府が真剣に金目当てで振興しようとしている(うまくいってるかは別として)一大産業。
日本が育てたゲーム産業は、世界で今「プロゲーマー」が生まれるほどにぎわっています。
下手したら、トップリーグの野球選手がもらう「年俸」並の金額を「たった一回のゲーム大会」で稼ぐ廃人ゲーマー・・・もといプロゲーマーも生まれています。
でも日本では賭博法とか、その関係で法的にプロゲーマーを扱うのが難しいから海外勢に水をあけられているという。
日本ってホントこのパターン多いよなぁ・・・。
また、ヒカキンやはじめしゃちょー、色々悪名を広めたヒカルみたいな「youtuber」だって、傍から見れば好きなことをやって遊んで、それを動画で配信してるだけにしか見えません。(むろん、youtuberはただ遊んでるだけでもないですが)
しかし、そんな連中が今や日本の「会社の重役」よりよっぽど稼いでしまっているのです。
そりゃあ、稼いでるから偉いとは言いませんし、稼いでる代わりに悪いことしてる人の真似は絶対したくないのが僕の人生観ですが、少なくとも奴らは世間的には「勝者」であり、力があることは認めるしかありません。
未だに「Eスポーツ(ゲーム)はスポーツなどと認めない!」「ユーチューバーなんてクソ!」などとのたまっているのは、頭の固い日本の年寄りくらいなんですよ。
結局お金とは「今、世の中で求められていることにどれだけ貢献したか」という価値で決まります。
「汗水流して働いて、お金を貯めるのが人間の道でしょ!」
なんて価値観は、今の時代は全く通用しませんし、そもそも「お金」の誕生起源からいっても間違っています。
なにはともあれいい加減、時代は変わってるってことを認めた方が良いんじゃないですかね。
いい加減、労働者も「奴隷根性」はやめようぜ
そりゃあ、日本では一般人も会社も一緒になって貧乏になってるっていうならまだ分かりますよ。
でも、会社の内部留保(会社の貯金みたいなもの)は増える一方だし、特に経団連や大企業は揃って「好景気」などと豪語しています。
でもここ10年、我ら一般国民にとっては増税やら実質賃金の低下やらで全く好景気とは思えませんでしたがね。
少なくとも今は、日本特有の変な労働への考え方で一番得してるのは「会社(しかもごく一部の大企業)」だけであって、日本全体から見れば明らかに微妙です。
肥え太ってるのは一部の支配者だけ。
女性なんて特に「昭和の謎労働文化」の被害を受けまくっています。
保育園もない、会社に搾取されて夫の収入も少ないから、共働きしないとやっていけない。
でも夫は昭和の考えの都合のいい部分に甘えて子育てや家事を手伝わない、ひどい場合は会社にマタハラなどで女性の労働をより苦しくする老害がわんさかいる。
それに耐えてしかも家族を養わなければならないというムリゲーを強いられる・・・
男性も男性で、安い賃金と無意味な長時間労働で大事な人生と精神力を削り取られてそれどころではないのは言うまでもありません。
こんな有様では、少子化もして当たり前じゃね?と僕は思うのです。
そんな有様で「好景気です!」など、海外でそんなことを抜かしていたら暴動ものです。
ふざけんな、賃金上げろ!休みよこせ!子育てさせろや!って話です。
ところが、今の日本はこういう現状に反発するどころか、加害者を擁護する人がいるからややこしいんですよ。
しかも同じ労働者の側が。
今は亡き「海外ニート」が危惧した通り、今の日本社会は支配される側=労働者同士で牽制しあい、支配者=会社のトップが好き勝手するのを認めてしまっているから恐ろしいのです。
若い労働者が少しでも今の社会に不満や疑問を呈すれば、甘えだの社会を知らないだのと批判する。
子育てしながら共働きをしている真面目な女性がちょっと子育て環境への不満を嘆くと、「自己責任で産んだんだから自業自得!」などと逆に叩かれる。
過労死する人を「自己管理もできない、社会人失格」などと、なぜか被害者批判をする始末。
しかし、「欧米型」経営者に対し、適応進化を遂げつつある若い世代には、だんだんそういう「牽制」もきかなくなってきています。
そのうち、日本にも「労働運動」がヨーロッパより200年くらい遅れて盛んになる日が来る・・・かも。
でも、戦後はむしろちゃんとストライキも起こってたはずなんですけどね。僕の小学生時代、学校で「ストライキの場合の対処」みたいなプリントが配られてたくらいですし。
少なくとも「労働環境が今より厳しかった昭和」も、今よりは「労働者は自分の権利を守るための行動を辞さなかった」とも言えます。
さすがにヨーロッパほど過激ではないけど。
マジで労働者が骨抜きになっていったのって、ここ最近くらいじゃないかと本気で思います。
特に、「日本式経営がダメだ!」みたいな自称・先進的欧米型コンサルタントとかが幅を利かせ始めたタイミング・・・よく知らんから詳しい人おしえて。
とりあえず、どうしてこうなった。
まあ日本人は大人しいし、いきなり昔の欧米の暴力的共産主義革命や、中国の農民反乱みたいに過激な抗議運動を起こすような時代ではありません。
だから、いきなり秦みたいに「滅亡」するということはまずないでしょう。
しかし、一方で日本の会社を「見限っている」人もだんだん増えています。
小学生のなりたい職業一位が「サラリーマン」ではなく「youtuber」になってしまったのもその証拠です。
僕らのように、昭和の会社文化について行けず、弾かれた人が脱サラ起業して成功したり、女性起業家がFXや個人ビジネス、あるいは「片付け術」で世界ベストセラーを叩き出したり・・・
このままだと、本当に日本は人が育たない、新しいことができない国になるんじゃないかと不安です。
あなたの勘は正しい、時代を見極めろ、奴らの思うつぼになるな
そして、今これを読んでいる人に伝えたいこと・・・
もし、今の日本の「昭和型労働」がおかしいと思うなら、それは実際正しい。
世界や歴史を見れば、「日本の今の労働思想」こそ「イレギュラー」であり、戦後の日本を緊急で復興する必要に迫られたうえでの「非情事態宣言」のようなものなのです。
そんな「非常体制」をいつまでも維持していたら、今すぐにではないにせよ日本の力はどんどん失われ、滅びます。
むろん、僕は日本の体制の打倒そのものを掲げる気はないし、あなたにもそんな革命家ごっこをして欲しくはありません。
あなたが生きたいように、好きに生きて欲しい。
だからこそ、僕らは社会の理不尽をただ甘んじて受けたり、目を背けたりせず、「社会に押し付けられる理不尽」から身を守る方法をそれぞれ身に付けないといけません。
その方法が、脱サラ起業だったり、海外逃亡だったり、youtuberになることだったり、色々です(笑)
それを甘えだとか逃げとか考えず、あなたの人生をより豊かにし、周りを結果的に豊かにするための積極的行動だとして前向きに考えてくださいね。
では、今回はこのへんで。
以上、
「「労働」もいい加減「戦時体制」から脱してくれ!」
というお話でした。